2016年2月20日土曜日

自分の内なる世界だけ

激しいかんしゃくに付きまとわれて悩んでいた一人の男の物語を聞きました。彼は何度となく激しく怒りました。彼は一緒に住んでいる人々にあらゆる非難を浴びせました。彼らがしゃくにさわるのでした。だれだってこんな連中の中にいたら良いことなんて出来っこない、と彼は言うのでした。そこで彼は多くの人々がやったように「世を去る」ことで解決しようとし、世捨て人になりました。住まいとして、他の人間の住むところからはるかに離れた森の中の洞窟を選びました。朝、彼は朝食のための水を汲みに近くの泉に水差しをもって出かけました。岩には苔がはえており、たえず水が流れているので滑りやすくなっており、水差しを流れに置くと滑り落ちてしまいました。彼は置き直しましたが、また落ちてしまいました。2、3回こんなことが繰り返され、その水差しを置きなおす度ごとに、かれはいっそう力みました。ついにその世捨て人の忍耐は尽きました。「じっとしていなんだったら、見ていろ!」と叫んで、水差しを取り上げてたいへんな勢いでたたきつけたので、粉々に砕けてしまいました。その場に自分以外に非難すべき者は誰もいませんでした。彼には、罪を犯させるのは自分の回りの世界ではなく、自分の内なる世界だけとわかるだけの常識がありました。疑いもなく多くの人々は、この小さな物語の中に何らかの自分の経験を認めるでしょう。
                           よきおとずれ 1章 今の悪の世 EJワゴナー

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