2021年7月19日月曜日

最も弱い人の1人

 サムソンを用いて、神が「ペリシテびとの手からイスラエルを救い始める」という約束は実現した(同13:5)。しかし、神の賛美と国家の栄光となり得た生涯の記録は、なんと暗く恐ろしいものであったことであろう。もしサムソンが、神の任命に忠実であったなら、神の目的は、彼の栄誉と昇進によって、成しとげられたことであろう。しかし、彼は誘惑に負け、信頼にそむき、その働きは、敗北と捕囚と死によって成しとげられた。 

 サムソンは、肉体的には世界で一番強い人であった。しかし、自制、誠実、堅実という点では、最も弱い人の1人であった。激しい感情の人を強い性格の人と考える者が多いが、実は激情に支配される人は弱い人である。人間の真の偉大さは、その人が支配する感情によるのであって、彼を支配する感情によるのではない。 

  神は、サムソンが召された働きを達成する準備が与えられるように、常に摂理的に、彼をお守りになった。彼の生涯の一番初めから、肉体的力、知的活力、道徳的純潔を養うためによい環境に囲まれていた。しかし、悪い友だちの感化によって、彼は、人間の唯一の保護であった神を手放し、悪の潮流に流された。義務の道を歩んでいて試練にあうならば、必ず神が守ってくださることを確信してよい。しかし、人間が、故意に誘惑の力に身をさらすときに、おそかれ早かれ倒れるのである。  

 神がご自分の器として、特別の働きのために用いようとなさるその人々を、サタンは全力を尽くして挫折させようとする。サタンは、われわれの弱点を攻撃し、品性の欠点を通じて、人間全体を支配しようとする。そしてサタンは、こういう欠点が人の心にいだかれているかぎり、自分の成功はまちがいないことを知っている。しかし、誰でも打ち負かされる必要はない。人間は、自分の弱い力で悪の力を征服するように、放任されていない。援助は手近にある。そして、誰でも真にそれを望む者には与えられる。ヤコブが幻に見たはしごを上り下りする神の使いたちは、最高の天にまででものぼろうと志すすべての魂に助けを与えるのである。

人類のあけぼの 第54章サムソン

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