2023年4月18日火曜日

人間の期待ははずれた。しかし神の目的ははずれなかった。

 キリスト教会は、はじめパウロがローマを訪問すると知った時、その町に福音の著しい勝利を期待していた。パウロは多くの地に真理を携えて行き、大都市で真理を宣べ伝えていた。この信仰の闘士は世界の大都市ローマにおいても、立派に魂をキリストに導くのではないだろうか。しかし、パウロが捕らわれ人としてローマに行ったという知らせによって彼らの希望はくじかれた。彼らはかつてこの大中心地に確立された福音がすべての国々に速やかに伝えられて、この地上における支配的な力となることを確信して、待ち望んでいた。それだけに彼らの失望は大きかった。人間の期待ははずれた。しかし神の目的ははずれなかった。 


宮廷は、パウロの説教によってではなく、彼の受けた束縛によって、キリスト教へと注目するようになった。彼は捕らわれの身でありながら、罪の奴隷となっていた多くの魂から束縛を断ち切ったのである。こればかりではなかった。「兄弟たちのうち多くの者は、わたしの入獄によって主にある確信を得、恐れることなく、ますます勇敢に、神の言を語るようになった」と彼は言明した(ピリピ1:14)。 


長い間の不正な留置の間中、パウロが示した忍耐と快活と勇気と信仰は、不断の説教となった。パウロの精神は、この世の精神と全く違っていて、地上の力よりももっと偉大な力が彼の中にとどまっていることをあかしした。そして彼の模範によって、クリスチャンたちは、みわざ——その公の活動からはパウロはすでに身をひいていたけれども——の唱道者として、より大きな働きへとかりたてられた。このように使徒のなわめの影響力は大きかった。彼の力と有用さとが断ち切られたように見え、どうみても何もできそうもない時に、パウロは全く自分がしめ出されたようにみえた地からキリストのために、麦束を集めるように魂を集めたのである。                    艱難から栄光へ 第44章 ネロの宮廷

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