ヤコブの目は、老令のためにかすんでいたので、青年たちがそばに来ても気がつかなかった。しかし、今、彼らの姿を認めて、「これはだれですか」とたずねた。彼らがだれであるかを知らされて彼はこう言った。「彼らをわたしの所に連れてきて、わたしに祝福させてください」(同48:9)。彼らが近づくと、ヤコブは彼らを抱いて口づけし、厳粛に彼らの頭の上に手をおいて祝福した。そして彼はこう祈った。「わが先祖アブラハムとイサクの仕えた神、生れてからきょうまでわたしを養われた神、すべての災からわたしをあがなわれたみ使よ、この子供たちを祝福してください」(同48:15、16)。その言葉には、自己依存の精神もなければ、人間的な能力や技巧に頼る精神も見られなかった。神が彼を守り支えてくださったのである。また、過去の苦い日々についてのつぶやきも聞かれなかった。試練や悲しみも、もはや「身にふ りかかって来る」不幸ではなかった。彼の全生涯の旅路を通じて、ヤコブとともにおられた神の恵みといつくしみだけが記憶によみがえってきた。 第21章 ヨセフと兄弟たち
0 件のコメント:
コメントを投稿